揺らして揺らして、サウンドに深みと色気を与えよう!
ギター大好き~ミチヒサだよ!
今日は、モジュレーション系エフェクターについて。
(このページは “音楽ギター編:Vol.38” になります)
・どんな場面で使うの?
などなど…。
モジュレーション系エフェクターとは、音に揺らぎを与えるエフェクター。ギター・サウンドに変化を付けて、個性的なサウンドになる。
上手く使うことによって、多彩なサウンド・メイクを演出できるようになるよ。あなたのセンスが問われる!そんな、エフェクターなんだよね。
たくさんあって、悩んでるって?でも、大丈夫~私は全力で応援するよ!
ここでは、私があなたの友達!
モジュレーション系エフェクターで、どう化けるのか!
モジュレーション系エフェクターは、ベーシックなサウンドの上に成り立つもの。まずは、基本となるギター・サウンドを作っていこう。
化粧で例えるなら、下地があって、それからアイシャドウや口紅等を載せていくでしょ?
それと同じで、モジュレーション系エフェクターは、アイシャドウや口紅等ということになる。
・あなたのサウンドを、どう聴かせるのか?
・楽曲に、どう色を付けていくのか?
・嫌味の無い、使い方になっているのか?
モジュレーション系エフェクターが、何故センスが問われるのか?というのは、こういったことなんだよね。
普段の化粧で、塗り過ぎたら気持ち悪い。逆に、舞台化粧は派手にしたい。
モジュレーション系エフェクターを使う時は、化粧のことを思い出して、サウンド・メイクしてほしい。
モジュレーション系エフェクターは数種類存在するが、大きく分類すると3種類となる。
・音の遅延を生み出す:コーラス、フランジャー
・音の位相をずらす:フェイザー
・音量(音程)を変化させる:トレモロ、ヴィヴラート
位相とは、音の波の周期のこと!
音は一定の周期で繰り返されているので、位相をずらす!というのは、音の波の周期をずらす!ということになる。
因みに、二つの波が合わされば、音量は大きくなる。これを、正位相と呼ぶ。
逆に、一方の波がずれると、もう一方の波を打ち消してしまう。周期がぶつかれば、音量が小さくなる。これを、逆位相と呼ぶ。
難しいことは置いておいて、各モジュレーション系エフェクターの効果について話していこう!
コーラスの特徴!
1975年に、ローランドからジャズ・コーラス(JC-120)というギター・アンプが発売された。スタジオやライブ・ハウスには、必ずと言っていいほど常備されている。
このアンプに搭載されているコーラスが、世界初のコーラスとなる。
翌1986年に、コーラス部分だけを取り出し、ボス名義でCE-1を発売。世界初の、コーラス・ペダル・エフェクターとなった。
では、コーラスはどのように生まれたのか?
松下電器(現:パナソニック)が開発したBBD素子(音を遅らせる半導体)は、大幅な遅延ができないため、ディレイのような効果は得られない。
では、少しの遅延で作れるものはないのか?という発想からだった。
BBD素子を使ったコーラスは、音の劣化は避けられない。しかし、高域帯を弱めるので、温かみのあるサウンドを作ることができる。
デジタル・コーラスはBBD素子を使わないが、あえてBBD素子のアナログ感をシミュレートしたものもある。
コーラスはディレイに近いエフェクターということになるが、大幅な遅延や繰り返しがない!と覚えておこう。原音から、音程を少し遅延させて揺らぎを作る。
浅めに設定すれば、爽やかで美しい広がりを得ることができる。クリーン・サウンドでは立体的な奥行きを作れ、ディストーション・サウンドでは厚みを増すことができる。
深めに設定すると、音痴に聞こえてしまうので注意しよう。効果的な雰囲気を出すために作るのは、アリだけどね。
フランジャーの特徴!
フランジャーの誕生は、ザ・ビートルズのジョン・レノンの発言からだった。
二度歌わなくても、機械でダブル・トラッキングを作ることができないか?
ダブル・トラッキングとは、二度重ねのこと。
二度歌うことにより、ピッチが微妙にずれることで、サウンドに厚みを出すことができる。昔から使われている、レコーディング方法だね。
テープ・リールに手で触れて、無理やり回転ムラを起こし、正しく回転しているテープと一緒に再生する。2台のレコーダーを微妙にずらして再生させるという、擬似的なダブリング効果だった。
これが、ADT(Artifical Double Tracking)と呼ばれる技法だ。
これを作り出したケン・タウンゼントの名前を取って、ジョン・レノンが「ケンのフランジャー」と呼んだ(フランジとは、テープ・リールのこと)。
その後、BBD素子が生まれ、MXRがフランジャーというエフェクター(M117)を作り出した。
コーラスと原理は同じだが、フランジャーのディレイ・タイムは短い。更に、フィードバックで、フランジャーのクセを調節する。
これが、フランジャー独特の金属的なうねりを生むことになる。
フィードバックが大きいと、サウンド変化が大きくなる。歪み系エフェクターと使うことでジェット・サウンドと呼ばれる、アグレッシブなサウンドになる。
ギターで使われることが多いが、ドラムやキーボード等の楽器。更には、ヴォーカルに使うことで、独特なサウンドを作ることができる。
フェイザーの特徴!
1940年に、ドン・レスリーが開発したレスリー・スピーカー。スピーカーを回転させ、周期的なうねりやドップラー効果を使ったロータリー・スピーカーのこと。
ハモンド・オルガンにレスリー・スピーカーを使うことにより、大聖堂のパイプ・オルガンのような音の広がりを持たせることができた。
ロータリー・スピーカーをコンパクトにしたい!と、作られたのがフェイザーだ。
最初のフェイザーは、ユニヴォックスのUni-Vibe。開発は、三枝文夫氏。新栄電気という、日本の会社が製造した。
ロータリー・スピーカーの効果を生むために作られたUni-Vibeは、もちろんオルガン用。ギター用を最初に作ったのは、MXRのPhase90。
Uni-Vibeは、Phase(位相)をShift(ずらす)ので、フェイズ・シフターと呼ばれていた。MXR以降は、フェイザーと呼ばれるようになった。
フランジャーと似ている!と言われるが、フランジャーは音の遅延を利用しているのに対し、フェイザーは音の位相をずらしている。
フェイザーは、原音に対して位相をずらした音を混ぜるので、音が回転するような効果となる。原音に作用するので、残響感がないのが特徴だ。
ピッキング・ニュアンスも残すので、クリーン・トーンに使うと一風変わったニュアンスが出る。
トレモロ/ヴィヴラートの特徴!
トレモロとヴィヴラートの違いは、分かっているようで分かっていない。私も、そんな一人だった(苦笑)。
歴史を振り返ると、結構ややこしい話しが出てくる。
フェンダー・アンプのVibroverbには、ヴィヴラートが搭載されていた。このヴィヴラートは、音量を周期的に変化させるということで、実はトレモロなんだよね~。
何故、こんなことが起こったかは不明だが…。フェイザーと同じく、ロータリー・スピーカーを再現するためにつくられたものだ。
ヴィヴラートは、周波数を周期的に変化させるということで、トレモロと似ているが仕組みは違う。こちらは、コーラスに近い。
ジャズ・コーラスには、コーラスとヴィヴラート・スイッチが付いている。コーラスは原音とミックスしているので、原音とミックスしていないエフェクト音を使えばヴィヴラートになる。
トレモロとヴィブラートが分かったところで、ギターのトレモロ・アームは、本当はヴィヴラート・アームが正解になる。
色々と説明したけど、簡単に覚える方法は…。
・トレモロ:音量を変化
・ヴィヴラート:音程を変化
ヴィヴラート専用エフェクターは、数が少ない。他のエフェクターと、一緒になっていることが多い。使いどころが少ない!というのもあるが…。
個性的なサウンドを作るには、欠かせないエフェクターだけどね。
おすすめモジュレーション系エフェクター!
モジュレーション系エフェクターは、マルチ・エフェクターを買えば全てが揃う。しかし、深く作り込みたいのであれば、コンパクト・エフェクターがいいだろう。
あなたに合ったモジュレーション系エフェクターを見つけよう。
・コーラス
・BOSS【CE-5】:低域と高域をコントロールできる2バンド・フィルター搭載。名器CE-1直系のリッチ・サウンドだ。
・MXR【M234】:自然なかかりで、太く温かみのあるウォームなトーンが特徴。数少ない、アナログ・コーラス。
・MAXON【CS550】:Char監修により、完成されたオリジナル・モデルの復活。幅広いサウンド・メイクができる。
・フランジャー
・MXR【EVH117】:エドワード・ヴァン・ヘイレンも使っていた、フランジャー。ジェット・サウンドも、一発で再現。
・TC ELECTRONIC【Vortex Flanger】:TonePrint対応で、憧れのサウンドを入手できる。幅広いサウンド・メイクができる。
・BOSS【BF-3】:4つのモードが搭載され、スタンダードからジェット・サウンドまで、簡単にサウンド・メイクができる。
・フェイザー
・MXR【M101】:1ノブのみという、このサウンドが欲しい!という人向けのフェイザー。定番のフェイザーだ。
・STRYMON【ZELZAH】:2台のフェイザーを搭載。多彩なコントロールを駆使して、ノーマルからアブノーマル(笑)まで作ることができる。
・TC ELECTRONIC【Helix Phaser】:TonePrint対応で、パソコンやスマホ等でパラメーターを調整できる。様々な楽器で使えるのも、ポイント。
・トレモロ
・BOSS【TR-2】:王道の、トレモロ。ノーマルなトレモロ・サウンドから、機関銃のようなスイッチング奏法まで幅広く使える。
・SUHR【Jack Rabbit】:モジュレーションの波形を決めて、テンポを選択する。ヴォリューム調整できるのが、とても便利。
・ヴィヴラート
・BOSS【VB-2W】:スタンダード・モードは、VB‐2サウンドを完全再現。新たな機能を搭載して、様々なサウンド・メイクができる。
・TC ELECTRONIC【Viscous Vibe】:名機Shin-Ei Uni-Vibeを、デジタル回路で再現。ジミ・ヘンドリックスのサウンドを、手に入れよう。
数種類のエフェクトが入っているコンパクト・エフェクターもあるが、今回は単体機を紹介した。
モジュレーション系エフェクターは個性が強いので、あなたの好みのサウンドを見つけて欲しい。
最後に!
こんなことを、何度か言われたことがある。
ギターに、エフェクターを使うのは何故?
ベースは、そのまま鳴らしても感情豊かだし、とても色気がある。
ギターには、到底真似ができない。私からの答えは…。
エフェクターで、こうした感情を作り出し表現するため!
もちろん、アンプ直結でプレイするスタイルもアリだ。私も、バッキングに関してはアンプ直結(ノン・エフェクト)で、レコーディングすることもあるからね。
エフェクターは、あなたの表現を広げるもの。そんな手助けをしてくれるのが、モジュレーション系エフェクターだ。
冒頭でも話したけど、ベースとなるサウンド・メイクをして、モジュレーション系エフェクターを取り入れるようにしよう。
作られるサウンドによっては、かかりの強弱やノイズの原因といったことも起こるからね。
マルチ・エフェクターでお試しして、コンパクト・エフェクターにするのもいいだろう。
個性的なサウンド・メイクを目指すなら…。
揺らして揺らして、サウンドに深みと色気を与えよう!
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